資金調達 2022.08.19

プロパー融資のメリットとデメリット

中小企業への融資といえば、まず信用保証協会の保証をつける「保証協会保証融資」が一般的です。
しかしながら銀行などによっては、保証協会の保証を付けず、独自に融資を行う「プロパー融資」を勧めてくるケースも考えられます。
さてこの「プロパー融資」とはどのようなメリットとデメリットがあるのか見ていくことにしましょう。

プロパー融資とは

プロパー融資とは、信用保証協会などの保証を付けず銀行が直接融資する形式のことです。
保証協会保証付き融資、略してマル保融資は公的機関である信用保証協会が融資の保証をすることで、中小零細企業など信用、資産が小さい会社でも融資が受けられるような仕組みです。
これに対しプロパー融資には、保証協会保証がありません。
プロパーという言葉本来の意味は「適切な」「相応しい」「全くの」などですが、ビジネス用語で使われる「正規の」「本来の」という意味のほうが一般的で、例えば正社員、新卒からの生え抜きという意味の「プロパー社員」などがその代表例です。
プロパー融資は、言葉自体が充分認知され「保証の無い融資」「直接融資」の意味で通用しています。
一方でその言葉の本来の意味から考えると「プロパー融資とは銀行融資本来の姿を持つもの」とも言えるのです。

プロパー融資のメリット

1.将来性が認められればプロパー融資の門戸も開く~①返済の確実性

監督官庁である金融庁が銀行に求めているのは「過度な担保、過度な保証人に依存すること無く企業の将来性や事業性を評価して円滑に融資する姿勢」です。
ですから創業何十年という老舗でなくても、返済の確実性が見込まれる業績の好調な推移があり、将来性も認められる企業であればプロパー融資の可能性は高まります。

2.過去の積み重ねより現在・未来を重視するようになった銀行~②信用度

従来銀行が重視してきた信用は「先祖代々」「地域に根ざして」といった時間を重視した要素でした。
しかし過去より現在・未来を重視する姿勢が求められるようになり、銀行の目線も変わりました。
例えば広告、メディアなどにより社会的認知度があれば信用度が高い、として創業何十年という時を経なくてもプロパー融資検討の対象になります。

3.担保・保証人依存体質の脱却を~③保全

先に述べた通り、銀行は「過度な担保、過度な保証人に依存すること無く企業の将来性や事業性を評価して円滑に融資する姿勢」を求められている銀行は、プロパー融資でも審査スタンスを大幅に変えています。
将来性が十分有ると認めて貰えれば、担保となる不動産や保証人がいなくてもプロパー融資を受けられる可能性はあります。
これも監督官庁からの指導によるものなのです。

プロパー融資のデメリット

次にデメリットですが、これは銀行の本音が見える部分と、プロパー融資の怖さについての説明になります。

1.将来性と金利は別の話し~①返済の確実性

将来性が認められプロパー融資が受けられることになったとしても、あくまでも金利は別の話しとなります。
プロパー融資に対する姿勢の変化は監督官庁指導、つまり銀行がやりたくてやっていることではありません。
従来なら対応しなかった顧客にもプロパー融資をするようになったわけで、この場合銀行から見てリスクが高いと判断されれば金利が高くなる可能性もあります。
金利はリスクに応じて高くなる性質があります。
将来性が認められたからと言って、返済の確実性も手放しで良くなったとまでは、銀行では考えないのです。

2.急成長は無理な背伸び、転ぶかも?と銀行は危惧する~②信用度

銀行の考える時の流れ、時間軸では1年は「短期」です。
通常融資を取り上げる企業でも最低3年の業歴が必要になります。
1年あるいは数ヶ月で、例え大規模企業になったとしても、余りに急激な成長を銀行では「危ない」と見るのです。
もちろんすべての企業がこの尺度に当てはまるわけではありませんが、金貸しとしての経験値から、銀行は急成長企業に対しある種冷ややかな視線を向けていることは事実です。
以上より、業歴があまりに短いとプロパー融資は難しい場合もあります。

3.適正に担保、保証人を求める姿勢は変わらない~③保全

顧客から集めた預金を融資して、利息を付けて回収する。
これを金融仲介機能といって銀行の本業です。
貸したお金は回収しなければならず、そのために万一返済できなくなった時の押さえとして担保、保証人をもとめることは、銀行が昔から行ってきた「保全対策」であり、この姿勢は基本的に変わりません。
監督官庁からの指示は「過度な担保、保証人に依存せず」であり、銀行が考えるリスクに応じた適正な担保、保証人を求めることは禁じられていないのです。
したがって、審査の結果担保や保証人を求められることもあり、準備できなければプロパー融資も受けることはできません、

まとめ

いかがでしたでしょうか。
この記事ではプロパー融資のメリットとデメリットについて説明してきましたが、プロパー融資最大の特徴は保証が付かないという点につきます。
保証がないので企業の将来性が重要になり、返済できなくなれば担保、保証人から回収するしかありません。
このように、審査の姿勢など変化はあっても、プロパー融資はやはりリスクの高いものなのです。
返せなくなった時が大変、これがプロパー融資最大のデメリットですので、検討する際は慎重に考えることが重要です。

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