資金調達 2020.01.22

企業の資本を増強して資金を調達しよう エクイティ・ファイナンスとは?

中小企業にとっては、資本といえば会社を設立するときの「資本金」以外にはあまりピンとこないかもしれません。しかし、資金調達の方法として株式の発行し購入してもらうことなどで会社の資本を増強することも立派な資金調達なのです。しかし会計に詳しくない経営者などには、資本をどのような方法で増強させていけばいいのかもわからないという方も多いと思います。実は資本を増強して資金調達するにもさまざまな方法があるのです。
それでは資本を増強するためのおもな方法について解説していきましょう。

第三者割当増資

第三者割当増資とは、新しい株式を発行して増資を行うもので、その株式を第三者に売ってその売却額を会社の資金とすることで資金調達を行うものです。
第三者割当増資をするためには、今後の会社の成長性やそれにより株価の上昇や高い配当が見込めることを投資家に説明する必要があります。これが実現できれば株主から新たな出資を受けることができるので、返済の義務がない資金調達が可能となります。
ただし、第三者割当増資を行うことで経営者自身の出資比率が下がってしまいともすれば経営権を失う可能性も否めません。

ベンチャーキャピタル

ベンチャーキャピタルとは、ベンチャー企業に出資を行なって、そのベンチャー企業が上場することにより出資資金を回収するとともに、上場による利益を上げる投資専門会社です。
つまりベンチャーキャピタルは将来性の高い市場や将来性の高い企業に出資することで、投資した会社が大企業になり株価が何百倍、何千倍になることを狙っているのです。
そのため、ベンチャーキャピタルから出資を受けるためには明確なビジョンとともに、参入する市場が将来有望であり、その会社が他社と差別化できる要素、さらには経営者のスキル、株式上場の可能性など様々な条件をクリアする必要があります。

エンジェル

エンジェルとはいわゆる投資家のことです。法人・個人を問わず、欧米では盛んに富裕層がエンジェルとなって有望なベンチャー企業に積極的に投資をしています。日本でも、徐々にではありますがエンジェルによる出資というのも伸びてきています。またベンチャー企業投資促進税制というものも創設され、条件を満たせば出資した金額に税金がかからなくなり、今後伸びが期待できます。

新株予約権(ストックオプション)

新株予約権(ストックオプション)というのは、あらかじめ設定した価格で新株を購入できる権利のことです。株価が安いときに新株予約権を持っていれば、その会社が成長して上場したときに以前の価格で購入し、すぐに売却することで、一般社員であっても高額な資金を手にいれることができるのです。外資系やベンチャー企業ではこれをモチベーションとして人材採用に利用する会社が増えており、優秀な人材の採用を目的にするために「新株予約権(ストックオプション)」を発行する会社が増えてきつつあります。また新株予約権(ストックオプション)を社債と一緒に発行したり、金融機関からの借入に利用することもできる場合もあります。新株予約権(ストックオプション)付の社債は投資家が集まりやすく、資金調達がしやすくなり、金融機関も新株予約権(ストックオプション)で、融資条件を緩くしてくれることもあるのです。

従業員持株会

従業員持株会とは、従業員が毎月一定額を給与から天引きして、その金額で会社の株を購入するしくみです。これによって社員が自社の株を持つことで、会社に対する意識やモチベーションの向上につながるとともに、毎月安定した資金が調達できることにもなるのです。
しかし、業績が悪い会社や配当が出せない会社の場合、従業員持株会が給与から天引きすることを反発する従業員も出てくることも考えられるので日頃から従業員とコミュニケーションを密にしたり、会社の業績を正しく報告するなど注意も必要となります。

中小企業ファンド

中小企業ファンドとは、ベンチャーキャピタルが投資事業有限責任組合という目的に合わせたファンドを組成し、投資家から投資を募るしくみです。そして投資ファンドは集めた資金を参加するベンチャー企業などに出資するのです。このファンドに参加できれば、他の同じ目的を持った企業とともに資金調達が可能となるのです。

いかがでしたでしょうか。このような融資やファクタリングなどの資金調達と比べてエクイティ・ファイナンスは、しくみ自体が難しく、資金調達するまでの期間も長いため即効性ある資金調達とは言いがたいかもしれません。しかし会社の資本体質を強くすることで会社の成長を考えるなら有効な資金調達方法といえるのではないでしょうか。

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