資金調達 2020.02.07

地方企業は資金調達に有利? 地域創生、開発をテーマにした助成金、融資の活用

地域の産業振興を目的として、企業を呼びこむためのさまざまな自治体で「補助金」制度が設けられています。地方に拠点を持つ、もしくは新たに拠点を設けようとする企業には、これらの補助金を使うことによって、拠点を設けるだけでなく新たな従業員を採用できるなどメリットは多いです。それでは具体的にどのような補助金活用法があるのか見ていくことにしましょう。

補助金で名産品をつくりブランド化に成功した事例

地方の産業や観光事業の活性化に関する補助金のひとつとして、「ふるさと名物応援事業」があります。これは、各地域の製造業者との連携を図ることによって「ふるさと名物の販路開拓を行う」小売業者をサポートするもので、小売業者をサポートする「小売事業者等支援事業」と、地域産業資源の活用を目指す中小企業グループが行う「ふるさと名物のブランディング」などをサポートする「ふるさと名物開発等支援事業」があります。
「ふるさと名物応援事業」の具体例としては、愛媛県今治市の「四国タオル工業組合」が取り組んでいる「今治タオル」のブランディングがあります。これは製品のクオリティについて独自の基準を設けたり、外部の優れたデザイナーを起用するなど、地域の産業観光として注目されており、今もこの地域の観光振興に一役買っています。
また、山梨県で実施されている「甲州ワイン」のブランディングとそれにまつわる文化と観光商品としての展開に活用されている例もあります。これは地域の自治体やワインの事業者が商品のブランド化に取り組む他、ワインが生まれる背景となる土地の文化を感じられるワインツーリズムが展開されるなど、実際に人々を集客する「着地型観光産業」に積極的に取り組んでいます。

最新技術を使用して地域の名産を全国に展開した事例

東日本大震災で甚大な被害を受けた、岩手県の大船渡市三陸町では、「三陸とれたて市場」とプロジェクトを補助金の活用により使って進めています。これは国の交付金を利用して先端的な冷凍技術であるセルアライブシステム(CAS)を町の漁業に補助金を利用して導入したものです。さらに「浜の台所CASセンター」と銘打った施設を行政がつくり、漁業者から販売者までの流通をサポートしています。また漁師の作業小屋である番屋を観光客向けの拠点として活用しているのも特徴です。復興と産業振興の両方をきっちりとやり遂げている事例といえるでしょう。

補助金を受けることだけを考えてはいけない。その地域に根付くための努力も必要

地方創生のために、企業が補助金を活用して地方に拠点を設けることは一見して、自治体にも企業にもメリットがあるように思います。しかしながら見知らぬ土地に進出して、その地域の人々を雇用し、事業を行なっていくことは容易なことではありません。事実勢いだけで補助金を利用して地方に拠点を設けても、思ったように人が集まらなかったり、販路が確保できないなどによって、思いのほか収益を上げることができず、結果的にその土地から撤退するようなケースもあるのです。

地方創生の補助金を使用して、企業が地方に拠点を設けることは決して悪いことではありません。地方進出を成功させるためには補助金だけでなく、事前に入念にリサーチを行うなどの準備が必要となるのです。

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