資金調達 2022.08.29

最初からアテにしてはいけない。助成金・補助金による資金調達

企業が資金を調達する手段の一つに、助成金・補助金があります。
どちらも国や地方公共団体から企業に対して支払われる資金であり、企業が行う特定の事業や施策を支援する目的で、必要経費の一部に対して支給されるものです。
支給対象となる事業や施策は国や自治体の政策に合致した企業活動であり、助成金や補助金ごとに異なっています。

例えば労働者が働きやすい労務管理体制を整備する費用などが挙げられるでしょう。
助成金・補助金で資金調達する最大のメリットは、銀行からの融資などとは異なり原則返済不要な点です。
受給できれば純粋な利益になるため手当たり次第に申請したくもなるでしょうが、実は助成金・補助金の利用にはデメリットもあります。
場合によっては助成金・補助金によって企業活動が悪化してしまうことにもなりかねませんので、最初からアテにするのはオススメできません。
ここから、助成金・補助金のデメリットついて確認していきましょう。

デメリット1:給付を受けるまでの時間とコスト

助成金・補助金を申請する際は、数多くの資料を作成するほか、対象の国や自治体から審査を受けなければなりません。
例えば、厚生労働省が支給している「キャリアアップ助成金(非正規労働者の正社員化コース)」であれば、以下のようなステップを踏んではじめて支給されます。

・キャリアアップ計画の作成・提出
・就業規則を改正し、非正規労働者の正社員化に関する規定を作成
・改正後の就業規則により正社員への転換
・転換後6ヶ月の賃金支払い(転換前と比較して5%以上増額)
・支給申請
・審査の後、給付

非常に煩雑で時間がかかりそうだということがお分かりになるでしょう。
これだけの活動を行うには事務コストもかかるため、給付を受けるまでに経費がかさみ資金繰りが悪化してしまうおそれもあります。
さらに国や自治体の求める要件に合致する可能性が低い会社であれば、給付を受けられず全て無駄になってしまった、ということもあるので注意が必要です。

デメリット2:制度が廃止になることもある

助成金や補助金は、そのときどきで国や地方自治体が重要視している政策を実現するために支給されます。
そのため、政策や情勢が大きく変われば、助成金・補助金の制度が突然廃止になったり、給付対象が変わったりすることがあります。

例えば、上で挙げた「キャリアアップ助成金(非正規労働者の正社員化コース)」は労働者の待遇改善という政策を反映したものです。
しかし、今後これよりも重要な政策が決まったり、待遇改善が進んでこれ以上の支援は不要と判断されたりすれば、助成金自体がなくなってしまうことも予想できるでしょう。
他にも支給額が減額されたり審査基準が変更になったりすることもあるので、助成金や補助金頼みの資金計画を立てるのは危険です。

デメリット3:受付のタイミングが限られている

助成金・補助金の申請受付期間はそれぞれ厳格に決められているので、期限までに全て必要な書類を不備なくそろえて申請する必要があります。
受給要件を満たすのに時間がかかった場合などは急いで申請書類を準備しなければならず、その分無駄にコストがかかってしまうこともあるでしょう。
助成金・補助金利用の際は必ず事前に受付期間を確認し、間に合うように準備を進めておくべきです。

【まとめ】
この記事では助成金・補助金を利用するデメリットについて解説しましたが、いかがだったでしょうか。
注意すべき点もありますが、助成金・補助金を賢く使うことができれば会社にとって大きなプラスになります。
闇雲に支給申請するのではなく自社に必要な制度を見分け、計画的に利用するようにしましょう。

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