資金調達 2019.07.28

生命保険を利用した資金繰り対策―事業保険の解約

事業保険に加入した理由は、経営者によってさまざまです。例えば、生命保険会社の営業担当者から「節税対策ができる良い保険がある」とすすめられて加入したという経営者も結構多いようです。
また、事業保険は、個人が加入する生命保険とは違い、万一の死亡保障や入院・手術などの医療保障のために加入するということではなく、まずは節税対策、そして事業保障や事業承継などを考えて加入する傾向があるようです。また事業保険には資金調達という側面もあります。そしてこの生命保険による資金調達の方法として、事業保険の「解約」があります。さらに、事業保険の解約には解約手数料もありません。生命保険会社へ申し出て、所定の手続きを行うことにより、手元に資金を得ることができます。
ただし、事業保険の解約にはメリットがある一方、デメリットもあります。それらを理解して事業保険の「解約」を資金調達の方法と検討することをお勧めします。

そもそも解約とは

解約とは、将来に向かって保険契約を解消することです。ですので、解約をすることにより、保険契約自体がなくなってしまい、解約した時点からその保障もなくなります。
また、解約は契約者が申し出れば自由に行うことができ、解約が成立すると解約返戻金を受け取ることができます。ただし、保険商品・保険期間・契約時の年齢そして契約からの経過年数によって、解約返戻金の金額が増減するため、払い込んだ保険料総額よりも少ない金額となることが一般的です。さらに生命保険は一度解約してしまったら、元の契約条件に戻すことができません。では生命保険を解約するメリットとデメリットにはどのようなものがあるのでしょうか。

事業保険解約のメリット

事業保険を解約することによって、比較的早期に現金化できるほかさまざまなメリットがあります。まずはそのメリットを紹介しましょう。

短期間で現金が手に入る

事業保険の解約手続きは、銀行の融資とは異なり、審査等で時間がかかることはありません。所定の書類を生命保険会社へ提出することにより、おおむね1週間以内で解約返戻金を受け取ることができます。

財務数値には特に支障もない

不動産を売却することなどと違い、事業保険の解約は資金調達を行った場合、保険料を払い込み続けてきた生命保険を解約して解約返戻金を受け取るだけなので、貸借対照表で固定資産が減少するなど財務数値への支障もありません。

解約する時期によっては節税対策になる

加入している事業保険により、解約返戻金が最大化できる時期やその金額は異なりますが、その解約返戻金がピークになる時に解約すると、退職金や設備投資の原資として解約返戻金を使うことができるほか、節税対策となる場合もあるのです。

受取った解約返戻金を使って、別の契約で事業保険に再加入できる

会社の経営が経営状況にもよりますが、解約返戻金をもとに新たな保険に加入することで、
保障を継続することはできます。ただし解約した保険と同様の保障や保険料となるわけで
はないので注意も必要です。

事業保険解約のデメリット

一見してメリットのありそうな事業保険の解約ですが、そのデメリットもあります。事業保険を解約するデメリットにはどのようなものがあるのでしょうか。

解約のタイミングで、払い込んだ保険料総額より解約返戻金が少ない場合がある

解約する時期によっては、払い込んだ保険料の総額より解約返戻金少なくなる場合あります。この場合だと必要な資金が調達できない可能性もあります。

節税対策にならなくなる

事業保険の加入理由が、保険料の支払による節税対策の場合は、事業保険を解約することで、解約以後の節税対策もなくなってしまいます。

事業保険に再加入できない可能性もある

事業保険に再加入できるといっても、一旦解約した事業保険を元に戻すわけではなく、あくまで新たに保険契約を結び直すということです。また事業保険を再加入する場合は、被保険者の健康状態によっては加入できないような場合もあります。

事業保険は、会社の業績が良い時に節税効果も狙って、加入した場合が多いかもしれません。ただし万が一の時を考えて、保険の解約には躊躇する人も多いかもしれません。しかし、この記事で説明したように、資金調達が必要な時の保障となる場合もあるのもいえるでしょう。

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