数字でみるファクタリングによる資金繰り改善
ファクタリングは、最短で即日振込、高い審査通過率、そして信用情報に影響しないなど、中小企業や個人事業主の資金繰りには有効な手段です。
手数料がかかるため、かえって資金繰りに影響がでるのではないかというイメージも有りますが、ファクタリング手数料を低く抑えることができれば、資金繰りの改善に有効と言えます。
それでは、ファクタリング手数料の許容範囲、及び資金繰りを改善させる流れについて解説していきます。
目次
ファクタリング手数料の許容範囲は売掛債権の粗利益率・営業利益率と比較する
まずは、ファクタリング手数料の許容範囲を知ることが必要です。
ファクタリングの手数料率の許容範囲は、売却する売掛債権の粗利益率や営業利益率と比較して判断します。
もし、これらの利益率をファクタリング手数料が上回る場合は、資金繰りに悪影響があると言えます。
売掛債権の粗利益率は、売上高に対する粗利益の割合として、粗利益÷売上高(売掛債権)×100(%)で算出します。
粗利益は売上総利益ともいい、売上高から売上原価を差し引いた利益を指します。
売上原価とは、売れた商品の仕入れや製造にかかった費用です。
営業利益率は、売上高に対する営業利益の割合のことで、営業利益÷売上高×100(%)で算出します。
企業が商品や製品を売る力、儲ける力、企業の管理効率を示しており、営業利益率は5%を超えれば上場企業並み、中小企業は1~3%が平均と言われています。
営業利益とは本業の儲けを意味し、粗利益から販売費及び一般管理費を差し引いて計算することができます。
ファクタリングする前に、現状を把握する
次に、ファクタリング利用会社が資金繰りを改善する流れを、具体的な数字でシミュレーションしてみましょう。
例えば、製造業者が売掛債権10,000円をファクタリング会社に売却して資金調達を計画するとします。
現在の製造業者の業容を、売上高(売掛債権)が10,000円、粗利益2,500円、営業利益500円とします。
業界の粗利益率の平均が19%とすると、粗利益率は25%で平均より高めです。
一方売上高営業利益率は平均で4.7%とすると、営業利益率は5%と平均的であることがわかります。
ファクタリング手数料率と営業利益を比較する
では、この売掛債権をファクタリング会社に売却する場合、許容できるファクタリング手数料は何%までになるでしょうか。
ファクタリング手数料が10%の場合だと、10,000円の売上債権から9,000円の現金を調達することができます。
ただし、その場合の粗利益は手数料分の1,000円を差し引き1,500円であるため、営業利益はマイナス500円になってしまいます。
もしファクタリングが手数料5%の場合だと、9,500円の現金を調達できるため粗利益は2,000円となり、営業利益はゼロになります。
つまり、ファクタリングの利用1回で資金繰りに困ることはありませんが、製造業の場合は商品の在庫を抱えているケースもあるため、在庫リスク管理や経営の効率化など具体的な改善策の実施が必要になると言えます。
数字でみるファクタリングによる資金繰り改善のまとめ
いかがでしたでしょうか。
この記事では、具体的な数字を用いてファクタリング手数料の範囲について数字で解説してきました。
ファクタリング会社を選択する際は、まずは手数料が自社にとって適正かどうか、しっかりと現状分析をすることが必要です。
また、手数料が許容範囲かといった要素以外にも、自社の資金繰り改善と財政のコンサルティングについてどこまでサポートしてくれるかという点に目を向けることも大切といえるでしょう。