ファクタリング 2019.07.28

ファクタリングのはずが実は融資だった

ファクタリングは、依頼者から債権を買い取って、一定の手数料を差し引いた上で依頼者に残額を支払い、その債権を回収することビジネスです。ですが悪徳といわれる一部の業者では、ファクタリングのように見せかけて、実はヤミ金のような高利で資金を貸し付けているようなケースもあるのです。では一体とのようなケースがこれに当てはまるのでしょうか。

金属加工業 江戸川金属工業 の例

江戸川金属工業は、東京都江戸川区にある金属部品の加工を得意とするいわゆる町工場です。しかしながら、近年海外製の部品が多く出回るようになり、多くの得意先から度重なるコストダウンを要請されてきましたが、取引金融機関の融資などでなんとか資金繰りを行ってきました。しかし、ある時大口の得意先に納品した部品に不良品が見つかり、その対応を行っていたために得意先への請求・入金が1ヶ月先になってしまいました。それにより1ヶ月だけ従業員の給与や様々な支払いに対して手持ち資金が不足する「資金ショート」の状況に陥ってしまったのです。同社の社長はこの状況を脱却するために、取引金融機関に運転資金の追加融資を要請しましたが、審査などで時間がかかり、必要な支払いを行う期日までに資金を調達するのが難しい状況になってしまったのです。その時、会社のポストに「手持ちの請求書で資金調達」とうたう業者からのチラシを見つけ、わらをもすがる思いでそのチラシに書かれた携帯電話の番号に電話をかけたのです。その時、電話口でいわれた条件は次のようなものでした。
1 当社は請求書の金額200万円のうち、手数料50万円を差し引いて3日以内に15ばいばい0万円を振り込む
2 請求書は本来の支払期日までファクタリング業者が預かり、支払期日にその請求書を額面の200万円で江戸川金属工業が買い戻す
3 契約に関しては対面でなく、全て電話と郵送で完結できる
実はこの取引、ファクタリングではなく、ファクタリングを装った高利の融資なのです。
では一体、この取引の何が問題だったのでしょうか。

ファクタリングはあくまで債権の売買取引である

まずファクタリングは売掛債権を売買する「売買取引」であることを忘れてはいけません。ですから、その債権を依頼者である江戸川金属工業が買い戻すことはありません。
さらに手数料が債権の額面200万円と比べて50万円と高いことも注意が必要です。確かにファクタリング会社は、手数料によって収益を得ているわけですし、本来のファクタリング取引では登記などの費用も発生します。しかしこの場合、債権を再び買い戻すわけですから手数料が発生することもないのです。ですからこのケースはファクタリングではなく「債権を担保に融資を受けている」ことにほかならないのです。

業者の所在が不明確

また業者の連絡先が携帯電話だけであることや、対面での打ち合わせを行わず携帯電話や郵送だけで対応しているところも問題がありそうです。「その業者が本当に存在しているのか」「契約の内容が法律と照らし合わせて適切なのかどうか」などきっちりチェックすることができないのです。

このようなケースは、ファクタリングをかたった融資で、手数料も法外であることから貸金業法、利息制限法などに抵触するものであることから、業者が摘発され逮捕されるケースも出ているのです。さらにこのような業者はヤミ金業者がファクタリングを隠れ蓑にしているようなケースもあるのです。

いまやファクタリング業者も多数存在し、インターネットだけでも様々な業者を比較することができます。正しくファクタリングを活用するためにファクタリング業者を適切に選んでいくべきではないでしょうか。

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