ファクタリングを行った請求書が期日通りに入金されないとどうなる?
「ファクタリングを行った請求書が期日通りに入金されないとどうなる?」
売掛金未回収のリスクはゼロではありません。ファクタリングを利用する際に確認しておきたい項目のひとつではないでしょうか。
本記事では、上記の疑問について解説していきます。
企業間の売買取引において、売掛金未回収率は約10%とも言われています。本来であれば、継続的に取引を行うために支払期日を守らねばなりませんが、日本においては売掛金未回収のトラブルはよくあるものだというのです。
そのようなトラブルを防ぐためにも、売掛債権を売却することで売掛債権の権利をファクタリング会社へ譲渡することで、売掛金未回収のリスクをあらかじめ回避する策としてファクタリングを利用している経営者も少なからずいらっしゃることでしょう。
しかし、ファクタリングを利用したからといって、必ずしも売掛金未回収のリスクが回避できているとは限りません。
また「償還請求権」の有無により、ファクタリング利用者が売掛先に代わってファクタリング会社へ売掛金額分を支払わなければならないこともあるのです。
では、この「償還請求権」と償還請求権の有無による対処方法の違いを説明していきましょう。
償還請求権とは
償還請求権のことを「リコース」ということもあります。
これは、ファクタリング会社がファクタリング利用者へ損失を請求できる権利のことをいいます。
償還請求権ありのファクタリング(リコースファクタリング)
売掛先が倒産するなどで売掛金の入金がない場合に、売掛債権を売却したファクタリング利用者が責任をとって、ファクタリング会社へ返済をするというものです。
ファクタリングの中で、三社間ファクタリングがこれに値します。
三社間ファクタリングの際には、売掛先から同意を得るため、最長の支払サイトである60日の間に倒産することは稀ではありますが、もし倒産した場合には支払いが発生します。
三社間ファクタリングの場合、売掛先からファクタリング会社へ入金を行います。そのため、期日までに入金がない場合には、ファクタリング会社が翌日に売掛先へ連絡し、督促を行い、回収をしています。
償還請求権なしのファクタリング(ノンリコースファクタリング)
売掛先が倒産するなどで売掛金の入金がない場合には、ファクタリング会社が全責任を負うため、ファクタリング利用者には一切支払責任がありません。
ファクタリングの中で、二社間ファクタリングがこれに値します。
二社間ファクタリングの場合、売掛先に同意を得る必要がないため、三社間ファクタリングに比べて早く現金化となりますが、その反面、売掛先の信用調査は厳しめになります。
売掛先が倒産した場合に、ファクタリング会社が全責任を負わねばならないため、このような貸し倒れリスクを考慮した手数料となり、三社間ファクタリングに比べて割高な手数料となります。
二社間ファクタリングの場合は、ファクタリングの利用を通知していないため、売掛先からファクタリング利用者へ入金があり、ファクタリング利用者からファクタリング会社へ売掛金の支払いを行います。
万一、売掛先から期日までに入金がない場合には、売掛先へすぐに連絡をしたうえで督促を行う必要があります。特段の理由がない場合には、即日入金してもらうように依頼をしましょう。
ファクタリング会社はファクタリング利用者から期日までに入金がないと、売掛先へ債権譲渡通知を送付し、売掛金回収を図ります。
ファクタリング利用者は、売掛先にファクタリング利用を知られたくない場合もあるため、売掛先への回収督促を行う必要があるのです。
本記事では、「ファクタリングを行った請求書が期日通りに入金されないとどうなる?」という観点から償還請求権について解説しました。
ファクタリングには三社間ファクタリングと二社間ファクタリングがありますが、売掛先に同意を得るか得ないかが大きな違いであり、手数料が大きく変わってきます。万が一売掛先が倒産した場合や支払い期日が過ぎた場合の対応も変わってきます。
・償還請求権ありのファクタリング(リコースファクタリング)
→三社間ファクタリング
・償還請求権なしのファクタリング(ノンリコースファクタリング)
→二社間ファクタリング
売掛先から期日までに売掛金の入金がない場合には、契約したファクタリングの種類により対処方法が異なります。
ファクタリング利用者にとって、売掛先が倒産した時には、二社間ファクタリングの方が責任を負うことがないというメリットはありますが、万一入金遅延となった場合については債権譲渡通知を送付されないよう努めなければなりません。
日頃から売掛先と密に連絡を取り合い、期日までに売掛金を回収できるような信頼関係を築くことが必要なのです。