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手形担保融資 2019.06.24

手形はなぜ減少したのか?

手形は、企業間で資金決済をするための手段です。取引時点で必要な現金が手元になくても、一定期間後に支払うことを約束した手形を振り出すことで現金の支払いを遅らせることができます。日本において手形は明治時代から利用されており、長らく商慣行として根付いていました。しかし手形交換高は1990年代台をピークに年々減少し続け、今やピーク時の10分の1以下となっています。すでに事業者の6割は手形を使っておらず、銀行振込などによる現金決済が主流になっているようです。手形の利用はなぜ減少しているのでしょうか。理由を説明していきます。

利用のための手続きが煩雑である

手形を振り出し(発行)したい企業は、まず取引銀行で手形決済用の当座預金口座を開設する必要があります。当座預金口座は普通預金とは違い誰でも開設できるものではありません。銀行によって経営状態や取引履歴などを審査され、承認された場合のみ開設できます。口座開設後に手形がつづられた手形帳を発行してもらって初めて、手形を振り出すことが可能になります。手形の書き方は手形法によって細かく決まりがあり、間違うと無効になってしまいます。一方で手形を受け取った企業は、手形の「支払呈示期間」が到来したら銀行に持ち込み、「取り立て依頼」をすることで現金を受け取ることができます。「支払呈示期間」は、手形券面に記載された支払期日から3日間です。期間を過ぎると手形の法的な効力が失われ、通常の取立手続きでは回収できなくなってしまいます。このように振り出す側にとっても受け取る側にとっても、手形による取引は非常に手間が多く、企業が手形を避ける原因になっています。

手形利用にはコストがかかる

銀行から手形帳の発行をしてもらうには、2,000円程度の発行手数料がかかります。また、手形を振り出す際には収入印紙を貼らなければいけません。これは印紙税法で決められたものなので、貼らなければ脱税になります。印紙の額は手形金額によって異なりますが最大20万円と、銀行の振込手数料よりも高額です。

手形を現金化するまでに時間がかかる

手形を受け取った企業は、支払期日が到来するまで現金を受け取ることができません。支払期日は振り出した日の数ヶ月後に設定される場合が多いので、受け取る側にとっては代金がなかなか手に入らず、資金繰り悪化の原因になってしまいます。金融機関に手形を買い取ってもらう「手形割引」によって期日前に現金化することもできますが、銀行に手数料を支払う必要があります。

不渡りのペナルティが重い

不渡りとは、手形の支払期日を過ぎても資金が決済されないことをいいます。具体的には、振り出した側の当座預金口座から現金を引き落とそうとした際に口座残高が足りない場合、資金を決済できず不渡りとなります。不渡りを出した企業は手形交換所によって「不渡り報告」に掲載され、すべての金融機関に不渡りの事実が報告されます。さらに1回目の不渡りから6ヶ月以内に2回目の不渡りを出すと、2年間金融機関と融資や当座預金の取引ができないというペナルティを課されます。これは事実上の倒産であり、非常に重い処分です。現金決済であれば、もし支払いに遅れが生じたとしても当事者間で解決することができます。

公正取引委員会からの要請

2016年、公正取引委員会は下請法強化の取組として、全国の企業に対して下請代金をできるだけ現金で支払うように要請しました。これは、下請け業者が手形支払までの期間を長く設定されるなど、不利な条件での取引を余儀無くされる事態を避けるための対策です。この要請により、元請け会社と下請け会社との取引で手形が使われなくなっています。

手形が使われなくなった理由について解説しましたが、いかがだったでしょうか。近年では銀行振込の他にも、電子決済など技術の進歩によって多様な支払い手段が生まれています。
手形は決済手段としての一定の役割を終えたと言えるのかもしれません。