資金調達 2022.08.08

企業の資金調達のポイント2 借入だけでなく資本を増やすことを考えよう

以前は会社を設立するにあたって、株式会社では1,000万円、今では廃止されている有限会社では300万円の資本金が必要でしたが、2006年の法律改正により、今では1円の資本金で会社を設立することができるようになりました。
しかし、そもそも資本金は、会社を設立して事業を開始する時に必要な運転資金であり、1円で何かを購入することも難しく、また資本金が低いことで会社の信用力も低いとみなされ、融資を受ける際に不利である場合が多いのが現状です。
融資を有利に受けるために、資本を増やす方法を紹介します。

現物出資

経営者自らの現金を資本金として組み入れることができればベストですが、手持ちに資本金となりうる資金がない場合は、土地や建物、会社で保有している車や機械等を資本金にしてしまう方法です。

利益を組み入れる

利益をあげている会社で、会社を設立してから1年以上経っている場合に、決算書に計上された資本余剰金を資本金に振替を行うことにより増資する方法です。

公募増資

これは株式会社に限りますが、不特定多数の投資家に対して、新たな株式を取得する権利を与える増資方法です。
公募増資の場合、すでに出資してもらっている既存の株主以外の投資家にも権利を与えることになるため、発行する株の価額によっては、既存の株主の利益を侵害する可能性もあるため注意が必要です。
以前よりも有利な価額で株を発行する場合には、株主総会の決議が必要になります。

株主割当増資

これも株式会社に限りますが、既存の株主に対して、新たな株式を取得する権利を与える増資方法です。
既存の株主は保有している株数に応じて新たな株を取得することができます。
この場合、既存の株主は新株を強制的に買う必要がないため、すべての株主が新株を買わないという可能性もあります。

第三者割当増資

これも株式会社に限りますが、自社の関連企業や取引先などの特定の第三者に対して、新たな株式を取得する権利を与える増資方法です。
これも自社の関連先とはいえ、第三者であるため、公募増資と同じく、以前よりも有利な価額で株を発行する場合には、株主総会の決議が必要になります。

個人に出資してもらう

親族や個人の経営者、そして会社設立時の発起人などから出資してもらい増資する方法です。

デット・エクイティ・スワップ(DES)

デット・エクイティ・スワップ(Debt Equity Swap)とは、債務の株式化ともいわれており、具体的にいうと、会社にとっての債務(借金・負債)を株式に振替えることで、債務超過を解消することなどにより、負債を削減することができます。
このデット・エクイティ・スワップにより、借入金を資本金に振替し、増資するという方法です。

この記事では資本を増やす方法について7点の方法を紹介しましたが、いかがでしたでしょうか。
資本金を増やすことで、会社の財務基盤が安定し、会社の信用度も上がるため、融資も受けやすくなります。
会社の経営者にとって、日々の資金繰りのために、資金調達方法として借入を考えてしまいがちではありますが、資本金が1円など低額である場合や、資本金の金額のために融資を断られてしまった場合には、まず資本金を増やすことを検討してみてはいかがでしょうか。

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