資金調達 2020.02.07

流動資産担保融資「ABL」とはどのようなものか

販売する見込みはあるもののまだ出荷時期が決まっていない商品や、価格が安い時に大量に仕入れた原材料などを倉庫などに大量に保管しているようなケースもあるのではないでしょうか?しかも、これらはすでに仕入先に代金を支払っており、あとは出荷時期や製品として使用する時期を待待っているだけのものです。このような在庫を使用するまでの期間だけでも担保にでき融資を受けられたら短期的にでも資金繰りの改善に役立つのではないでしょうか。流動性担保融資(ABL)とはそのような在庫を担保に融資を受けられるものなのです。それではこの流動性担保融資(ABL)が、一体どのようなものなのか見ていくことにしましょう。

流動性担保融資(ABL)とは

流動性担保融資(ABL)とは、手持ちの商品や原材料などの在庫を担保として融資を受けるというものです。事業を行う上で安い価格で大量に仕入れて、長期にわたって販売することや製品にするために使用することで、利益を増やしたいというケースもあるでしょう。しかし、これまでは仕入先に代金を先に支払った上で、これらの大量の在庫を倉庫などにストックしておくしかありませんでした。さらにこれらの在庫を自社の倉庫ではなく貸倉庫などに保管するような場合には別に倉庫の保管料などの経費も必要です。もしこれらの在庫を半年から1年以上の期間で販売や使用する見込みがない場合、これらの在庫を担保にして融資を受けることも考えられるのです。ただし、流動性担保融資(ABL)では、動産譲渡登記というものを利用するために、担保いったん担保となった在庫が債権者のものとなり、その間は販売や処分ができません。つまり流動性担保融資を受けている間はその在庫が他人のものになってしまうということなのです。また融資を受ける際は、担保となった在庫が債権者に所有権があることを証明する必要もあります。この条件を満たすことで融資を受けることが可能となるのです。
また、在庫の価値は常に変動します。そのため、棚卸資産・在庫の数量などを融資元に報告する必要性があります。この期間は一般的に3か月に1回以上の報告が必要とされているのです。

流動性担保融資(ABL)信用保証協会の保証制度もある

中小企業向けの融資で一般的な存在である信用保証協会も、この流動性担保融資(ABL)に対する保証制度を行なっています。これは在庫の所有権を信用保証協会に移す動産譲渡登記を行い、定期的な在庫量や価値を報告することで信用保証協会がその在庫の担保価値の80%を保証することで、それを踏まえて金融機関が融資を行うというものです。
また、信用保証協会が債務保証をするので、銀行などの金融機関自体は貸し倒れリスクが低いため。万が一、倒産などで貸し倒れが発生したとしても、融資額の80%は信用保証協会が銀行に代わりに返済してくれることになるのです。ですから、信用保証協会の保証がないプロパー融資と比較すると審査は通りやすく、担保となるものもあるため、そのぶん銀行側にとってはリスクの少ない融資方法となるのです。

在庫だけでなく売掛債権でも担保にできる

流動性担保融資(ABL)の担保となるのは在庫だけではありません。実は請求書などの売掛債権も担保とすることができるのです。これだとファクタリングと同じではないか?と思われる人も多いかもしれませんが、ファクタリングはファクタリング業者に売掛債権を売却するのに対して、流動性担保融資(ABL)は売掛債権を担保として融資を受けることなので本質的に異なるものなのです。

いかがでしたでしょうか。担保になるものといえば土地や建物などの不動産を想像しがちですが、在庫や売掛債権も担保として活用できるのです。自社の持っている資産を今一度見直して担保とすることも有効な資金調達方法ではないでしょうか。

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