資金調達 2022.08.10

忘れてはいけない。助成金は後払い

助成金とは

助成金には様々な種類のものがありますが、主に厚生労働省が管轄している、雇用に対しての支援金のことを指します。
雇用保険に加入している事業所が対象となり、必要条件をクリアしていれば支給されます。
助成金の原資は各事業所から納付されている雇用保険料であり、助成金支給後は原則的に返済が不要です。
助成金と同じような種類のもので「補助金」がありますが、これは経済産業省や地方公共団体の管轄のものとなります。
助成金と補助金の大きな違いのひとつが採択率です。
補助金は採択件数や総額が予め決まっているものが多く、補助金の種類によっては採択率が数%となる場合もあります。
一方、助成金は必要条件を満たしていれば「ほぼ」受給できるといわれています。

助成金の種類

労働者の雇用・労働環境の安定のために、助成金は様々な種類のものが設けられています。
大きな分類としては

・雇用維持関係
・再就職支援関係
・転職、再就職拡大支援関係
・雇入れ関係
・雇用環境の整備関係
・仕事と家庭の両立支援関係
・人材開発関係

等があり、新規雇用からキャリアアップまで様々なシーンに応じて設けられています。
社会情勢の変化に合わせて新しい助成金が次々に増えていますので、現在どんな制度があるかについては、厚生労働省ホームページに記載されている最新情報をご確認ください。

助成金の社会的メリット

助成金を受給するためには労働関係の法令に違反が無く、尚且つ雇用保険料・労災保険料を滞りなく納めている必要があります。
つまり助成金を受給できているということは、労働条件が整備されていることを厚生労働省が公に認めた事業所であることの証明になり、「助成金を受給できている事業所」というだけで社会的なイメージアップにもつながります。

また、働き方改革という言葉が浸透し、ブラック企業がすぐに取り沙汰される今日において、助成金を活用して従業員向けの制度を充実させることは、労働者側も安心して働けるプラスの材料であるといえます。

助成金は後払いである

いよいよ当記事の核心になりますが、助成金を活用する上で忘れてはいけない大事なポイントが、原則的に「助成金は後払いである」ということです。

必要条件を満たし申請が無事完了したとしても、主な助成金は申請から入金されるまでに半年から1年ほどかかります。これはそもそも助成金が、資金繰りが悪い事業所のための経済的支援策ではなく、従業員の労働環境の改善・向上を図る性質のものであるからです。

一般的な金融機関からの融資のように、審査が通れば事前にキャッシュが入金されて資金繰りに充当できるものではありません。
まず、対象となる施策に対しての出費が当たり前に発生します。
そして、出費内容がわかる報告資料を別途作成し、その内容が確認されて初めてキャッシュが入金される段階に向かいます。

つまり助成金は資金調達に有効な手段ではあるものの、施策の実行に必要なキャッシュは事前に自分で準備をする必要があるという点を忘れてはいけません。
助成金を活用する目的を、短期的な資金繰りのためとしていては危険なのです。

【まとめ】

助成金を活用することは、事業運営の核となる人材の雇用・育成を促進し、さらに社会的評価を向上させることになるため、積極的に取り入れていくべきでしょう。
ただし、資金繰りのひとつの手段として見てしまうと本質を見失いかねません。
制度の趣旨や必要条件を理解し、より良い事業活動へ繋げていきましょう。

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