資金調達 2020.02.07

銀行の企業格付をあげて融資を円滑に受けよう

銀行などの金融機関は、「格付け」によって、融資先となる企業の融資姿勢を決めるといっても過言ではありません。つまり格付けが悪くなると、金利が上がるほか、融資を受けることができなくなってしまうのです。ですから、企業は、金融機関からよい格付けをもらわなければ、資金調達ができなくなってしまいます。それでは、この「格付け」とはどのように決められているのか見ていくことにしましょう。

格付けの70〜90%が決算書で決まる

銀行格付けは、決算書で70~90%が決まるといわれています。これは強大な権限を持った金融庁の方針なので、銀行などの金融機関は、例外なく決算書を中心に格付けを行っているといっていいでしょう。
金融機関は、融資先を10~12段階に分けて信用格付けします。そしてこの信用格付けに基づいて、「債務者区分」を決定します。そしてこの「債務者区分」は、
・正常先
・要注意先
・要管理先
・破綻懸念先
・実質破綻先
・破綻先
の6つに分類されます。そして格付けとこの債務者区分は直結しており、たとえば、格付けが1~6なら正常先、7-1なら要注意先、7-2なら要管理先、8なら破綻懸念先、9なら実質破綻先、10なら破綻先というように対応関係にあるのです。この数値が大きくなればなるほど、貸倒のリスクが高まり貸倒引当率が高くなるのです。そしてこの貸倒引当率は、正常先で0.1~0.3%、注意先では1~数%ぐらい、要管理先になると約15パーセントに跳ね上がるのです。要管理先に格付けされるとお金を貸すと金利をはるかに上回る貸倒引当金を計上しなければならないため、金融機関はお金を貸したとたんに損をすることになり、融資を行うことが難しくなるのです。特に要管理先に区分されてしまうと、新規融資は行われなくなります。ですから少なくとも要注意先以上の区分に入らないと、融資は受けられません。

決算書の数値だけで融資を決めるわけではない

決算書の数値に加えて、決算書上数値で評価しづらい要素について評価されます。ここで評価される要素は、
・経営者の能力
・市場の将来性・成長性
・過去の返済履歴
・経営計画策定能力、財務管理能力
・販売力
・技術力
・マスコミ記事
・業歴
といったポイントで、この中でも「市場の成長性」「経営計画力」「販売力」が高いようです。
しかし、あくまで決算書の数値がベースであり、これらで格付けが大幅に変更されることはないと考えた方がいいでしょう。

返済能力も評価される

ここまでの評価項目には該当しない、融資先の融資返済力を左右する事項も次のように評価します。具体的には、不渡手形、回収不能売掛金、換金不能な不良在庫、さらには回収不能な貸付金や土地や有価証券の含み損などを決算数値から控除します。逆に土地や有価証券に含み益があれば、プラスに評価され、オーナー、支援者、関連企業に資産余力があれば、プラスに評価されるのです。しかしながらこれも決算書をベースにした評価から大きく変わることはありません。

このように金融機関は融資先となる企業の決算書を中心に、経営者の資質や経営方針などもきっちり評価することで融資するかどうかの判断をしています。ですから黒字化はもとより決算書の数値を改善するとともに日頃からの銀行とのコミュニケーションを行い良い評価を貰うような行動をしていくことが重要なのです。

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