資金調達 2022.08.10

個人事業主における開業時の資金調達

個人事業主として開業する際、まず初めに超えなければならないハードルが資金調達です。
事業内容によっては設備資金や運転資金が必要ですし、それ以外にも開業当初は利益の見込みが立ちにくいため、当面の生活費も確保しなければなりません。
しかし、まだ事業の実績が少ない個人事業主にとって資金調達は難しいものです。
特に民間の金融機関から融資を受けようとしても、審査に通る可能性は極めて低いでしょう。
個人事業主が資金調達するには、適切な方法を選ぶ必要があります。
本稿では個人事業主が資金調達する際の具体的な方法を説明していきます。

自己資金

開業資金の一部でもいいので、必ず自己資金を使うようにするべきです。
自己資金ゼロで、すべての資金を融資で調達するのはおすすめできません。
なぜなら、開業直後はまだ事業が不安定なので、大きな金額を借り入れて返済負担が大きくなりすぎると返済困難になるリスクが高まるためです。
また融資を受ける場合でも、どれだけ自己資金を出せるかは審査のポイントになります。
それによって、事業の安定性や計画性をチェックされるのです。
開業時点で自己資金がない場合、まずは会社員として働いて資金を貯めるなどの方法を考えるべきでしょう。

助成金・補助金

国や自治体によっては、開業する個人事業主に対して助成金や補助金を支給している場合があります。
助成金や補助金とは、公的な団体が創業促進や経済の活性化を目的として、事業にかかる経費の一部に対して資金を給付するものです。
助成金や補助金は返済不要の場合が多いので、ぜひ利用を検討するべきです。
ただし、給付を受けるには応募要件に合致している必要があります。
また給付金額の上限が定められているので、応募者が多く給付限度額に到達すると打ち切られてしまいます。
利用の際は国や自治体、商工団体などが発信する情報を収集し、有効活用できるようにしましょう。

親類・知人からの借入れ

借り入れが必要な場合でも、金融機関に行くより先に親類や知人からの借り入れができないか検討しましょう。
第三者から借り入れするよりも返済条件に融通がきくため、返済しやすくなることが期待できるからです。
ただし、よく見知った相手からの借り入れであっても、当然返済条件を定めて確実に返済していく必要があります。
条件をあいまいなままにしたり、返済が遅れたりすれば、金銭だけでなく人間関係のトラブルに発展してしまうかもしれません。

日本政策金融公庫の新創業融資制度

銀行など民間の金融機関は、開業直後で信用力のない個人事業主に対して融資することはほとんどありません。
一方で、日本政策金融公庫は政府系の金融機関であり、新しく事業を始める企業や個人事業主に対して支援を行っています。
日本政策金融公庫から開業資金を借り入れできる制度が、新創業融資制度です。新創業融資制度を使うと、無担保・無保証で3,000万円まで借り入れができます。
また経営者自身が保証人になる必要もありません。
借り入れ金利も1〜3%と低く設定されているので、開業する個人事業主にとっては非常に有利な制度です。
注意すべき点として、開業に必要な資金の10%を自己資金から捻出する必要があります。

信用保証協会の制度融資

各自治体が産業振興のために用意している制度融資を利用することもできます。
これは民間金融機関からの融資に対して、全国にある信用保証協会が保証を付与することで、開業直後の事業者であっても借り入れができるというものです。
制度融資では金利の一部を自治体が負担するため、金利が非常に安いことが特徴です。
ただし注意すべき点もあり、自己資金についての要件が厳しいこと、申込から融資を受けられるまで2ヶ月程度時間がかかることなどが挙げられます。

この記事では個人事業主が開業資金を調達する方法を解説しましたが、いかがだったでしょうか。
まずは自己資金や助成金・補助金を使って充当し、それでも足りなければ借り入れすることを考えるようにしましょう。
重要なのは常に情報を集め、利用できる制度はすべて利用することです。

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