資金調達 2020.01.15

取引先との決済条件を見直そう。前払での取引を検討する

「取引先との決済条件を変えるなんてできるのか?」と思われる方も多いでしょう。しかしながらこの「前払」という仕組みは、商取引にはまだなじみがないだけで、
・Suica、PASMO、nanaco、Edyなどのプリペイド型の電子マネーカード
・住宅やオフィス賃貸の家賃
・定期購読の雑誌
・学校や塾などの授業料
など多くの分野で実現しているのです。特に法人取引でも一般的なのは家賃で、今月分は先月に支払うという先払いなのです。それでは決済条件に前払いを検討するメリットからmまず見ていくことにしましょう。

資金繰りに悩まなくて良い

通常の信用取引の場合の資金の流れは
①資金調達
②商品やサービスの提供
③仕入れコストやサービス提供コストの支払い
④1ヶ月~2か月後に顧客から入金(手形の場合は5か月~6か月後入金となる場合もある)
という流れになります。この場合は、支払いが入金よりも先にあるため、あらかじめ資金調達を行う必要があるのです。また資金を先に用意しておかなければならないため、キャッシュフローが回らないつまり債務超過に至ってしまうのです。つまり売上が伸びれば伸びるほど、資金繰りが苦しくなる原因がここにあるのです。
一方、前払いで取引できた場合、商品やサービスの提供前に顧客から入金されてから
商品やサービスの提供する流れとなり、お金が入金されてから、コストも発生するので資金調達の必要性がなくなり、キャッシュフローも改善するのです。

無在庫・受注してから発注する取引が可能になる

前払いで取引を行うことは、先に注文がありすでに入金もされているため注文を受けてから商品を発注することが可能です。サービスの提供であったとしても、はじめから人員を計画的に配置するなどもできます。つまり不良在庫の発生、過剰在庫の発生を回避できたり、余分な人員を抱えておく必要もないのです。その分顧客への提供価格も安くすることもできるので、自社の価格競争力を上げることもできるのです。

金利、税金もかからない

前払は、銀行からの借入とは違って金利なく、返済の必要性もありません。また会計上は顧客から預かっているお金(預り金)となるので、商品を納品したりサービスが完了するまでは税金もかからないのです。つまりお金としての制約もなく、金利も発生しないので、企業の経営・資金繰りを楽にする効果をもたらすのです。また商品やサービスを提供するもらっているので、資金回収はすでに完了しており、取引先から支払ってもらえないというリスクもないのです。

前払いにするデメリット

すでに信用取引を行なっている場合、前払いに条件変更することは容易ではありません。資金繰りに必要な金利分などのコストを還元する意味で値下げを行うなどの工夫も必要となります。顧客からすれば同じサービスが利用できるのであれば、前払いよりも後払いの方が良いに決まっています。値下げだけではなく他社にはない独自性なども必要となってきます。つまり自社の独自性や価格などにメリットを出さねばならないのです。

このように前払いに変えるメリットは非常に大きいものがあります。また海外ではデポジットとして一部を前払いとする制度も定着しています。しかし導入するためのハードルが高いですが自社の資金繰り改善のために検討する価値はあるのではないでしょうか。。

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