税理士に頼りすぎは禁物。資金調達のために把握したい決算書のツボ
中小企業の経営にとって一番重要なことは資金繰りです。いくら利益が出ていても、過度な設備投資や人件費などによって赤字になってしまい、会社資金が底をついてしまっては倒産の恐れも出てきます。今現在の保有している資金はいくらなのか、将来的にどのくらいの資金が必要になってくるのか、事業を進めていく過程でどの程度であれば投資に回すことができるのか、これらの点を経営者であれば、税理士に任せっきりにせずに自分で把握しておく必要があります。今回の記事では、代表的な3つの決算書について解説していきます。
貸借対照表から資産と負債、資本のバランスを見る
貸借対照表とは、バランスシートとも呼ばれており、一定時点(決算時)の財政状態を表しています。記載されるのは、会社の資産・負債・純資産で、会社はどのような資産を持ち、その資産のもとになる負債や純資産をどうやって集めてきたのかが分かるようになります。例えば、貸借対照表で分かる安全性の指標のひとつに「自己資本比率」というものがあります。この比率が40%以上であれば倒産しにくい企業、50%以上であれば優良企業といえるでしょう。他にもいくつかのポイントがありますが、貸借対照表を読み解くことで、会社の資金調達先や使途内訳、安定性、支払能力なども分かり、ここから会社の課題が見つかることがあります。できれば、月次決算を組んでチェックできるようにしておくとよいでしょう。
損益計算書で収益に対する費用を見る
損益計算書とは、事業年度で会社がどのくらいの金額を使って、どれくらい稼ぎ、その結果どれくらいの金額が手元に残ったのかを示す書類です。もっと簡単に言うと、会社が1年間の営業活動でどれくらいの利益が出たのかを示すものです。損益計算書の中でも売上総利益、営業利益、経常利益の3つの利益はとても重要なチェックポイントになります。売上総利益は、粗利益とも呼ばれ、売上げから商品仕入やサービス外注費などの売上原価を差し引いた利益のことです。また、営業利益は、売上総利益から事業活動を行うための販売管理費(経費)を差し引いた利益のことです。そして3つ目の経常利益は、営業利益から営業外収支を加減した利益のことです。この3つの利益を意識した上で会社経営を心がけると収益性の高い経営となります。
キャッシュフロー計算表でお金の流れを見る
キャッシュフロー計算表とは、一定期間において、どれだけの資金を獲得して、そのうち何にどれだけ投資し、資金の不足分をどのようにして補足したのかを示したものです。簡単に言えば、企業のキャッシュ(実際の現金、預金)の流れを計算して表示する計算表です。これを見ることで、企業の利益だけでなくキャッシュをどれだけ稼いでいるのかを確認することができます。利益が出ていても、売上債権の回収ができていなかったり、過剰在庫の状態になっていたりすると、たとえ黒字であってもキャッシュが増えずに資金繰りが厳しい状態になってしまうこともあります。つまり、キャッシュフロー計算表は、利益がキャッシュと結びついているかどうかを確かめる非常に重要な書類といえます。
【まとめ】
この記事では、資金調達のために把握しておきたい決算書について解説してきましたが、いかがだったでしょうか。決算書は経営上の問題点を明らかにしてくれる情報の宝庫です。決算書から得た情報を生かして経営改善をすることで、よりよい業績へと繋がっていくこともあります。経営者であれば、決算書を読み取る力を身につけ、税理士に頼りすぎることのないように心がけていきましょう。