資金調達 2020.02.07

経営者への貸付・仮払金を回収することも立派な資金調達

経営者への貸付金や仮払金とは、経営者が本来会社として経費計上できない費用を会社から借りているお金のことをいいます。この貸付金や仮払金があることで、経営者の経営態度が問われ、会社に対しての信用度が落ち、経営に支障をきたすこともあるのです。
それでは、経営者への貸付金や仮払金があることによるデメリットを説明し、経営者から貸付金や仮払金を回収する方法を説明していきましょう。

経営者への貸付金・仮払金があることによるデメリット

①金融機関からの評価が下がる

経営者への貸付金や仮払金が発生した理由を問わず、金融機関からは貸付金や仮払金が不良債権という認識がされてしまうため、結果的に自社の与信評価が下がります。そのためいくら融資を申請したとしても審査が通らないケースが多く存在します。これは金融機関が経営者の経営態度を見ているからで、金融機関は「会社のお金を個人のものとして流用しているのではないか?」「会社の経費を損益で計上せずに、資産として計上して誤魔化しているのではないか?」と考えるためです。

②法人税の負担が増える

経営者への貸付の際には、通常の借入金と同じように金利が発生します。またその金利は収益として計上する必要があります。ですから収益として計上することにより、利益が増えてしまい、結果的に法人税が増えてしまうのです。
③退職金が減少する
経営者への貸付金や仮払金を退職時までに返還できなければ、経営者の退職金(役員退職金)から相殺して支払うことになります。そのため、結果的に経営者の退職金が減少してしまうことになります。

経営者から貸付金や仮払金を回収する方法

①役員報酬から相殺する

経営者自らが貸付金や仮払金を返還する意思があまりないのであれば、毎月支給している役員報酬から強制的に相殺することで、回収することができます。

②経営者個人の資産を処分させ、貸付金や仮払金返済に充てる

経営者個人が保有するゴルフ会員権や、投資不動産等を売却した資金を、貸付金や仮払金の返済として充てることにより、回収することができます。

③会社の生命保険を担保に、経営者個人が金融機関から融資を受ける

会社で経営者の生命保険に加入し、その生命保険を担保に、経営者が金融機関から融資を受けます。経営者は、毎月融資を受けた金融機関へ返済をすることになりますが、その融資額を会社へ貸付金や仮払金返済に充てることにより、回収することができます。

④経営者の退職金から相殺する

前述しましたが、経営者の貸付金や仮払金が退職時までに返還がない場合、経営者の退職金から相殺することで、回収をすることができます。

中小企業の場合、経営者自らが経理処理をしていることも少なくはありません。ですから、その経理を行っている経営者が財務や経理の知識がないことで、結果的に会社の不良債権を発生させ、会社としての信用度を落としているケースも多々あるのです。
経営者自らが、財務や経理の知識をつけ、経営者が経費計上できない費用を、会社からの貸付金や仮払金としないことも大切ですが、もし仮払金や貸付金が発生してしまった場合には、早期に経営者から回収することも考えるべきでしょう。
また経営者から貸付金や仮払金がなかなか返してもらうことができない場合は、今回紹介したような回収方法を活用して、資金調達に生かすべきではないでしょうか。

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