銀行員は経営者の人柄をどのように評価しているのか
人が人を評することは難しく、またその相手をどのように評価するか?これは難しい質問です。銀行は長年培ってきた融資審査を行った経験を蓄積して経営者の人柄を3つのキーワードで評価しています。それは①信用できるか?②普通か?③使えるか?の3つです。それでは「銀行員が経営者をどう見ているのか?」その3つのキーワードを解説していきましょう。
キーワード1 信用できるか?
銀行が最も重視するのが「信用」です。どれだけ会社の業績が素晴らしくても、輝かしい経歴を持った人であっても、信用できなければ全く意味がありません。銀行が事業資金として融資するお金は預金として集めたものです。これを事業発展のために融資して、その融資金も最後まで回収できることで、融資の源泉である預金も守られるわけです。ですから信用できない人物には、他のどんな素晴らしい要素が備わっていたとしても銀行は融資しません。では信用できる人とはどういうことでしょうか。よく「私を信じてください」「私は信ずるに足る人間です」と自分から言う人がいます。しかし、このように自分から言う人ほど、実際には信用できないというのは、世間一般良くあることです。では銀行員はどこを見て、その人物が信用できると判断するのか?それは至って当たり前のことで、つまり「人として当然備えるべき常識人たる資質」といったものです。約束の時間には遅れない。やむを得ず遅れそうなときは必ず自分から連絡を入れる。どんな些細な約束事でも決して忘れない。新入社員研修で習いそうなことばかりですが、銀行員はこれをとても重視しています。銀行員という人種は時間を大事にします。「いつまでに、どこまでやる」というノルマと日々戦っており、時間というものに常に追われている人種だからです。ですから時間にルーズ(遅れるだけで銀行員はルーズと見ます)な人間はそれだけで信用できないと言うことになりますので注意が必要です。
キーワード2 普通か?
これは常識人であるか?ということです。経営者にも様々な人がいて、人柄もそれこそ十人十色です。しかし銀行員は普通を好み、普通でないことを嫌います。言動がエキセントリックである、横柄な態度を取る、あるいは攻撃的な人は銀行員に嫌われます。また、夢ばかり追っているような人も銀行員から見れば危なっかしい人種と言えます。仮にポーズだとしても、銀行員の前では何事も控えめが吉と出ます。心中燃える気持ちがあっても表には出さず、控えめで言動は至って常識的、銀行員はこういう人を好むのです。
キーワード3 使えるか?
銀行員は自分にとって、あるいは支店や銀行にとって「使える人間なのか?」という観点で人を見ます。銀行も営利企業であり、したがって当然ですが利益を追求しなければいけません。そのため支店ごとに目標が貼り付けられ、そこで働いている銀行員はそれぞれ個人の実績を追い求めているのです。「使える人間なのか?」とは、こうした実績獲得にどれだけ貢献してくれる人なのか?ということなのです。では「使える人間」とはどんな人なのでしょうか。要は実績に困ったとき頼りになる人で「あの社長は使える」といった表現をすると理解いただけるでしょう。月末や期末などに支店の融資残高を増やしたいとき、本当は必要が無いのに借りてくれる人。あるいはクレジットカード10件獲得が必要なとき、頼めば従業員や家族に声をかけ、協力を惜しまない人。これらがつまり銀行員から見た「使える人間です」。銀行の実績獲得に協力してくれているわけですから、こういう人に対して銀行員は少なからず感謝しているのは間違いないことなのです。
まとめ
銀行員はこのような「銀行員好みの経営者」を好みます。銀行員に好かれる行動をし、困ったときには、できる限り助けになりたいと思われるような行動をとってみることも重要かもしれません。