建設業が資金調達に困る理由は?
建設業は資金調達に困る、という話を耳にしたことはないでしょうか。
建設業界では、銀行融資を受けられずに資金状態がひっ迫していたり、受注があっても下請け業者へお金が支払えないという状況に直面している企業も存在します。
一般的に銀行融資の承認が得られにくい傾向がある建設業ですが、その背景には建設業ならではの理由があります。
建設業の資金調達が難しい理由として、以下の3つの理由があります。
①支払いが行われるまでの期間が長い
建設業界に関する取り決めを明記している建設業法では、下請け業者に対する支払いは1ヶ月以内に済まさなければならないと規定されています。
しかし、実際にはその規定が遵守されることは多くありません。
出来高払いや竣工払いが採用されている工事の場合、工事完了の翌月や翌々月になっても支払われないこともあるというのが現状です。
一方、業者に依頼する企業においても、着工金や中間金の支払いがない工事の場合には、工事が完成するまで入金が全くないため、下請け業者への支払いが遅くなる傾向にあります。
こうした理由から、建設業では支払いが行われるまでが長くなり、資金繰りが圧迫されがちです。
②立替払いが発生する
建設業では、工事の規模が大きければ大きいほど、現場の作業員や施工管理者などの従業員が多く必要になります。
そのため、工事を期日までに完了させるために、下請け企業は工事のたびに業者を雇わなければならず、これらの業者については下請け企業で立替払いすることになります。
工事が完了するまでの間に立替払いが多発することで、企業の資金が費やされるため、資金繰りが圧迫されてしまいます。
また、工事を進めるうえで、何を、いつ、いくら業者に発注したのかを管理する必要があり、事務作業や会計処理にも費用がかかります。
こうした理由から、受注すればするほど資金繰りは厳しくなり、受注が多くても業者へ支払うお金が足りないという状況に陥ります。
③銀行融資に不向きである
銀行が優先的に融資を行いたい企業として、返済の可能性が高いと考えられる企業が挙げられます。
税金の滞納があったり、赤字経営であったりする企業の場合、貸し倒れするリスクが高いため、銀行は融資を承認できません。
建設業では、先に述べた①支払いが行われるまでの期間が長い、②立替払いが発生する、といった理由から、そのような企業が多いのが現状です。
また、銀行融資では審査に時間がかかり、手元にお金が入るまでが長い傾向にあります。
そのため、緊急時につなぎにする資金として銀行融資を当てにすることは困難であり、建設業にとって銀行融資は適していないと言えるでしょう。
【まとめ】
建設業が資金調達に困る主な理由3つを解説しました。
上記の3つの他にも、会計処理が正しく行われておらず、出費や立替払いがどのくらい発生しているかを正確に把握できない、融資を受けるための銀行担当者に対する説明が不十分で融資を受けられないなど、企業独自の問題もあります。
資金調達が難しい理由を経営者自身が理解し、どのような資金繰りをすべきか、どのように自社を改善すべきか、検討することが重要でしょう。
また、経営状態にあわせて公的融資を利用したり、ファクタリングで売掛債権を売却したりするなど、建設業であっても資金調達を行うことができるため、資金調達に関する情報収集を欠かさないようにしましょう。