資金調達にきっちり準備しておきたい事業計画書
事業計画書には決まったフォームはなく、ネット検索しただけでも色々な形式を入手することができます。入手した事業計画書フォームに埋めるだけでは「説得力のある」事業計画書にはなりません。事業計画書に説得力を持たせるためには、資金調達元となる担当者が「どこを見ているか」を知っておくことが必要です。それを踏まえずに、ただフォームを埋めただけでは、机上の空論だと見られてしまい、説得力のある事業計画書を作成することができません。それではどうやったら事業計画書に説得力を持たせることができるかを、事業計画書を作成する前に、押さえておくべき大事なポイントを3つ紹介します。
経営理念を行動にまで落とし込めているか
事業の核となる「経営理念」について明確な言葉で表現できているでしょうか。また、「経営理念→ビジョン→戦略→戦術(行動)」にまで落とし込まれているでしょうか。わかりやすく言うと「こうしたいという思いの実現ために、これをやります」という流れが作られているかということです。この流れが明確に作られていれば、「いま何をすべきか」ということが従業員の間にも浸透し、より強い会社へと近づいていくでしょう。トヨタやソフトバンクなどの世の中で成功している企業は、やはりこの経営理念から戦術(行動)までの策定が明確な言葉できちんと表されています。会社としての基盤の強さを証明するために、しっかり作り込む必要があるでしょう。
ビジネスモデルはSWOT分析しているか
事業者であればビジネスモデルは誰にでもあると思いますが、その客観性を高めるためのSWOT分析(強み・弱み・機会・脅威の分析)は必須だといえるでしょう。自社が提供するサービス・商品の「強み」が、他社と比べてどれだけニッチであるかが差別化のカギとなり、また「機会」や「脅威」を書き出すために自社が属する市場の正確な分析が必要です。SWOT分析をきっちりこなす力は、資金調達元の担当者への説得力そのものであるといえます。独自のビジネスモデルの優位性を十二分に証明できるものに仕上げましょう。
経営指数を意識したBS(貸借対照表)になっているか
BS(貸借対照表)は経営者の能力を如実に表しています。資金調達元となる担当者は、BSから算出できる「経営指数」も見ているのです。例えば、現在の総資産利益率(ROA)や、今後5年後の総資産利率について、その根拠を数字で表すことができるでしょうか。そもそも経営指数という概念を知らない経営者であれば、BSの重要性を理解できず、PL(損益計算書)の積み重ねとしてだけのBSを作ってしまいがちです。主要な経営指数というのは業種によって変わるものですが、どの指数を押さえておくべきかを把握し、その一つ一つに対する自らの見解を持った事業計画書に仕上げていくことが必要です。
今回挙げた3つのポイントを押さえた事業計画書を作成するには、「経営理念を行動にまで落とし込み、魅力的なビジネスモデルを作り上げ、経営者の実力を示したBSにつなげる」という全てのストーリーがつながっていることが欠かせません。このストーリーをもとに展望を語ることで、資金調達元の担当者に経営者の本気度が伝わり、結果的に説得力が生まれ資金調達成功へ近づくことでしょう。そして、事業計画書の作成は資金調達だけが目的ではありません。その先の事業の重要なガイドラインとなっていきますので、今後も実行していけるものに仕上げていきましょう。